sakuma51’s blog

川崎市からみんなに役立つ情報発信をします。

成田氏からの11月8日付メール その1

いよいよ本日行われる米中間選挙の情勢を纏めてお送り致します。日本と米東部時間との時差はー14時間なので、NYはもう8日になっています。 この選挙結果は、米国だけでなく世界中に大きな影響を及ぼします。なので、世界から大きな注目を集めています。今までの米中間選挙では、これ程までに大きく注目されることはありませんでした。米国民の関心も高く、投票率もかなり高くなるだろうと言われています。米国はこの2年間のバイデン政権の政策によって、経済・外交・軍事・移民・治安・エネルギー・インフレ問題など、あらゆる分野で危機に直面しています。国民の不満も高まっています。今まではトランプ嫌いから民主党に投票してきた人たちも、今回は投票先を見直すと言われています。現在の選挙直前の情勢は、レッド・ウェーブからレッド津波になったと表現する評論家もいます。しかし、2年前の選挙で起きたような「バイデン・ジャンプ(選挙結果の改竄)」が、また起きるかも知れません。油断は出来ませんが、選挙が不正なく終わることを祈りたいと思います。 この選挙の注目点と意義を及川さんが分かり易く報告してくれています。 先ず、下院はほぼ間違いなく共和党過半数を取ると予想されています。共和党がどこまで議席数を伸ばせるかが焦点になっています。民主党は、もう下院での勝利は諦めているようですね。 では、上院はどうなのか。これが大接戦になっています。今の予想では、上院も共和党過半数を取ると予想されています。でも、共和党が勝っても上院は今までとあまり変わらないと言われています。それは、下院であれば単純過半数(435議席の半分で218議席以上)で議案が可決されますが、上院では60議席必要だからです。これは上院にはフィリバスター(filibuster:議事妨害戦術)が認められているからです。60議席以上ないとフィリバスターを阻止出来ません。これは、上院は党派ではなく、超党派で決めるという伝統があるからです。今回の選挙で、どんなに共和党が勝っても最高56議席だと言われています。つまり、60議席以上は取れません。なので、共和党は大勝したとしても、上院で好きな法案を通せない。つまり、上院はあまり変わらないのです。実は、共和党民主党も、本音ではこのフィリバスターを変えたいと思っています。しかし、60議席以上ないのでフィリバスターを変えられないのです。目先の利益を優先して、通すべき法案を通せないのはどこの国の議員も同じですね。 それでも、もし共和党が上院で過半数を取れば出来ることがあります。それは証人喚問と調査です。例えば、「感染症に関する米国の第一人者」(NYタイムズ)と言われ、今も絶大な権力と影響力を持つアンソニー・ファウチの証人喚問が可能となります。ファウチは1984年からNIAID(米国国立アレルギー・感染症研究所)の所長を務め、NIH(米国国立衛生研究所)の医師として、50年以上にわたって様々な立場から感染症対策の中心的な役割を担ってきました。2020年からは新型コロナ・ウィルス・パンデミックに対処するホワイトハウス・タスクフォースの主要メンバーの一人となっています。今までもランド・ポール上院議員がファウチを上院議会で追及してきました。しかし、悉く追及をかわされてしまいました。 もし、共和党が上院で過半数を取れば、ランド・ポールが上院保健委員会の委員長になれます。そうなれば、ファウチを証人喚問して徹底的に追及することができます。また、証拠書類の提出も要求できるのです。米国が国内では禁止されている病原菌の研究を、資金を出して武漢で行わせたという疑惑の調査も徹底的に出来るのです。今までの追及とは格段に違う権限が、上院保健委員会委員長に与えられているのです。ファウチはそれを察してか、12月で引退するとの声明を出しました。 さらに、共和党が上院で過半数を取れば人事の承認ができます。大統領が任命した裁判官や大使、官僚(国務長官や財務長官などの長官)の承認ができます。大統領は候補者を任命するだけで、必ず上院の承認が必要なのです。これが下院とは違い、上院に与えられた大きな権限となっています。例えば、連邦レベルの裁判所(最高裁判所・控訴裁判所・地方裁判所)の判事(裁判官)は800人もいます。これらの判事は全て上院の承認が必要です。トランプが大統領の時に、最高裁判事(9人)の内、3人の保守系判事を任命し、上院で承認しました(この時は、共和党は上院で過半数を占めていた)。日本と違い、米国では判事や大使、官僚は保守かリベラルかを明確に表明しています。そして原則、任期は終身なので、9人しかいない最高裁判事の内、6人が保守の判事になったことになります。 これによって、今年6月には「ロー対ウェイド裁判」の判決を最高裁判決で却下しました。このロー判決とは、1973年に「人口妊娠中絶を規制する米国国内法を違憲無効」とした米国最高裁判決のことです。今年6月にその判決が覆されたのです。保守は元々、中絶を認めていないので、今回の最高裁判決になったと思います。左派はこれは女性の権利を犯すものと反発しています。しかし、これは「妊娠6週以降の中絶は原則禁止する」ということです。しかも米国ではアフターピルも手軽に手に入れられます。中絶を希望する人にとって、今回の最高裁判決は、決して「女性の権利を犯す」ものではないと、わたしは思いますけどね。 これから最高裁の判事に空席が出た時に、バイデンは当然リベラレの判事を任命するでしょう。しかし、もし上院で共和党過半数を取っていれば、これを拒否できます。空席になった最高裁判事を、次の2024年の大統領選で勝利した共和党の候補者が決めることができるのです。前に書いたように、最高裁判事は終身です。つまり、左派・リベラルの判事を拒否できるので、共和党が上院で勝利するかどうかが極めて重要なのです。 (1976) 2022.11.5【米国】中間選挙の見どころ①共和党の上院勝利で何が変わるか?【及川幸久−BREAKING−】 - YouTube 及川さんの直前予想です。投票日が近づくにつれて、レッドウェーブがレッド津波に変わったというのです。20社くらいある世論調査会社の平均で、下院は共和党過半数(218議席)を大きく超える236議席から269議席(+15議席~48議席)を獲得しそうだと言います。上院の平均予想は過半数(51議席)を超える54議席(+4議席)だと言います。州知事選挙の平均予想は31(+3知事)だそうです。50州の内、31州の知事を共和党が占めるというのはすごいことです。 (1983) 2022.11.07【米国】中間選挙の見どころ② 直前予想に大異変!共和党“赤い津波”【及川幸久−BREAKING−】 - YouTube 今回の中間選挙の情勢分析については、10日ほど前から「カナダ人ニュース」チャンネルで詳しく報じてくれています。今回はその直前の纏めを報じてくれています。これは参考になります。 (1983) 11.7① ココに注目:州知事編 - YouTube (1983) 11.7② 宇宙vs民主党 - YouTube 今回の中間選挙の意義を報じている「HARANO TIMES」さんの報告は秀逸です。この解説も是非お聞き下さい。 (1983) いよいよ明日! - YouTube 中東問題の専門家である「越境3.0」チャンネルは、今回の中間選挙をどのように見ているか。これも大変になる報道です。 (1983) 【エネルギー危機】今回のアメリ中間選挙の見どころは,民主党共和党どちらが勝っても”バイデンの今後” - YouTube 以上、成田

成田透氏のプロフィール
日本アイ・ビー・エム(株)に30年勤務。システムズ・エンジニア(SE)として、金融機関(都銀・長信銀)を担当。退職時は金融システム・ソリューション部長。
退職後はIBM関連会社の役員を歴任。最後は(株)エムティーアイで常務取締役ITセンター長。
数々の大規模システムの構築や大規模プロジェクトを成功裏に実施した。現在72歳。