sakuma51’s blog

川崎市からみんなに役立つ情報発信をします。

成田氏からの11月29日付メール 

今、中国共産党史上最大の政府抗議デモが起きている。切っ掛けは新疆ウィグル地区ウルムチで起きた火災だった。ゼロコロナ政策による厳しいロックダウンによって、この高層集合住宅に住む住民たちは、外に避難することが出来なかった。扉は外からボルトで締められていた。迫り来る炎の前で、住民たちは焼け死ぬのを待つしかなかった。SNSでは住民たちの泣き叫ぶ声が拡散した。この集合住宅の住民たちはウィグル人だった。 厳しい監視によって、このような事態に直面しても、ウィグル人が抗議の声を上げることは出来ない。代わりに抗議の声を上げたのは、中国人たちだった。中共が推し進めるゼロコロナ政策とは、火災が起きるとこのようなことになることを、SNSによって中国全土の人たちが知ってしまった。そして、中国全土の抗議デモに火を付けたのだ。 火災の状況を伝えるSNSの投稿は、中国当局によって直ぐさま削除された。それに対して、中国人たちはこの中国当局の行為に、Twitter上で#WhitePaperExerciseというハッシュタグで抗議の声を上げた。白紙の紙を掲げることで、SNSの削除に抗議したのだ。この抗議運動は、ウルムチだけでなく、上海市ウルムチ通りで、そして中国全土の都市へとあっという間に広がっていった。中国人たちの大規模な抗議デモには、「共産党、退陣」、「習近平、退陣」を叫ぶ声まで起きている。習近平政権が誕生して10年経つが、こんなことは初めてのことだ。習近平に異議を唱えることは、まさに粛正されることを意味する。彼らは命懸けで立ち上がった。 この事件に対し、ウルムチ当局は即座に記者会見で、「ロックダウンによってビルから脱出できなかったり、救出できなかった訳ではない」とウソの声明を出した。国営メディアも、「火災が起きた集合住宅は、ロックダウン政策においてリスクが低い地域だった。住民は大規模な集会以外なら集合住宅から外に出ることを許されていた」との声明を出した。ところが、中国のSNSに投稿された映像では、この集合住宅は最近ゼロコロナ政策がより厳しくなった地域だったことを明らかにしている。 中国当局は意図的にウィグル人を犠牲にしたのだろうと言われている。ウィグル人たちは、以前から強制収容所に入れられ、イスラム教からの改宗や奴隷労働を強制され続けて来た。従わない者には拷問やレイプなどが日常的に行われていた。中国人たちは、今までウィグル人がどんなに迫害されても、自分たちには関係ないと思っていた。しかし、ロックダウンされている地域は、中国全土に広がっている。それらの地域で火災が起きたら、ウルムチで起きたことと同じことが起きる。この悲劇はウィグル人だけに限ったことではない。そのことに多くの中国人が気づいてしまった。 この大規模なデモは中国全土の地域住民たちだけが起こしたのではない。中国の主要な大学でも白紙の紙を掲げるデモが起きている。北京大学や精華大学など分っているだけで103以上の大学で抗議デモが起きている。この反政府デモの行き着く先はどうなるのであろうか。習近平政権は、当然ながらデモ参加者に対して、厳しい粛正と弾圧で対処するだろう。 1989年6月4日に起きた天安門事件の再来となるのであろうか。多くの知識人や学生、民衆の活動家たちが、今回もまた逮捕され殺されるのだろうか。それとも、この「白紙革命」が習近平体制の終焉、更には共産党の終焉に繋がるのであろうか。わたし達はひょっとして、歴史の大きな転換点を目撃しているのではないだろうか。思っても見なかった事態に発展して、中国から目が離せなくなった。

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成田透氏のプロフィール
日本アイ・ビー・エム(株)に30年勤務。システムズ・エンジニア(SE)として、金融機関(都銀・長信銀)を担当。退職時は金融システム・ソリューション部長。
退職後はIBM関連会社の役員を歴任。最後は(株)エムティーアイで常務取締役ITセンター長。
数々の大規模システムの構築や大規模プロジェクトを成功裏に実施した。現在72歳。